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「なんでこれじゃなきゃダメなの?」子どもの強いこだわりとの上手な付き合い方

「毎日、この青いTシャツじゃないと学校に行かない!」 「ミニカーは、絶対に虹の色順に並べないと気が済まないの…」 「スーパーへは、いつもの道じゃないと一歩も動かなくなっちゃう」

子どもの、時に理解しがたい“強いこだわり”。 それに付き合う毎日に、ママはくたくたになってしまいますよね。「どうしてうちの子だけ…」「私の育て方が悪いのかな?」なんて、周りの視線も気になって、一人で悩んでいませんか?

その気持ち、痛いほどよくわかります。何を隠そう、私自身も息子の謎ルールに振り回されて、「もう、いい加減にして!」と叫びたくなったことが何度もありますから。

でも、安心してくださいね。その不可解に見えるこだわり行動には、実は子どもなりの切実な理由が隠されているんです。

こんにちは!児童発達支援の現場でたくさんの親子と関わってきた、ポレポレです。

この記事では、発達障害の特性にも触れながら、

  • 子どもの強いこだわりの「本当の理由」
  • ママの心がフッと軽くなる、こだわりとの付き合い方の基本ステップ
  • 「こんな時どうする?」ケース別の具体的な対処法

を、専門的な視点とママ目線の両方から、ぎゅっと詰め込んでお伝えします。

この記事を読み終える頃には、「そっか、そういう理由があったんだ」と子どもの世界を少し深く理解でき、イライラが納得に変わるはず。そして、癇癪やパニックを上手に減らしながら、親子の笑顔を増やすための「今日からできること」がきっと見つかりますよ。

もしかして発達障害?子どもの「強いこだわり」の正体とは

「うちの子のこだわり、もしかして発達障害と関係があるの?」 そう感じているお母さんも少なくないかもしれません。まずは、こだわりの正体について、一緒に見ていきましょう。

こだわりは「わがまま」じゃない。安心するための“お守り”

まず一番にお伝えしたいのは、子どもの強いこだわりは「わがまま」や「ママを困らせようとしてやっていること」ではない、ということです。

多くの場合、こだわり行動は、子どもがこの予測不能な世界で安心して生きていくための“お守り”のようなもの。特に、自閉症スペクトラム(ASD)の特性があるお子さんには、「同一性の保持」といって、「いつもと同じ」であることに強い安心感を覚える傾向があります。

特性解説
同一性の保持物事の手順や物の配置、環境などがいつもと同じ状態であることを好む心の働き。変化が苦手で、急な予定変更などに強い不安やストレスを感じやすい。

変化の少ない、いつも通りのルーティンの中に身を置くことで、彼ら・彼女らは心の安定を保っているのです。 ですから、「わがまま!」と頭ごなしに叱るのではなく、「これが〇〇ちゃん(くん)にとっての安心材料なんだな」と、まずはその子の世界をそっと覗いてみることから始めてみませんか?

こだわりは、子どもが世界と折り合いをつけるために編み出した、必死の“ライフハック”なのかもしれません。

なぜ?こだわりが生まれる3つの理由

では、なぜそのような「いつもと同じ」を求める心が生まれるのでしょうか。その背景には、大きく分けて3つの理由が考えられます。

① 感覚の違い(感覚過敏・感覚鈍麻)

私たちの周りには、光、音、匂い、肌触りなど、様々な感覚情報が溢れています。多くの子どもは、そうした情報を無意識に取捨選択していますが、発達に特性のある子の中には、この感覚の受け取り方がとてもユニークな子がいます。

  • 感覚過敏:特定な感覚を、他の人よりもずっと強く感じてしまう状態。 例:「服のタグがチクチクして痛い」「掃除機の音が爆発するように聞こえる」「特定の食材の匂いや食感がどうしてもダメ」 →不快な感覚を避けるために、特定の服や食べ物だけにこだわる。
  • 感覚鈍麻:感覚を感じにくく、より強い刺激を求めてしまう状態。 例:「何度もぐるぐる回る」「高いところから飛び降りる」「わざと大きな音を立てる」 →心地よい特定の感覚を得るために、同じ行動を繰り返すことにこだわる。

このように、私たちが何気なく受け入れている環境が、その子にとっては耐え難い苦痛であったり、逆に物足りなかったりすることが、こだわりの一因になるのです。

② 見通し不安

「この後、何が起こるんだろう?」 「いつもと違うことが起きたらどうしよう…」

次に何が起こるか分からない状況は、誰でも少しは不安になるもの。ですが、発達障害の特性を持つ子どもたちは、この「見通しの立たないこと」に対して、私たちが想像する以上の強い不安を感じます。

だからこそ、「いつもと同じ道順」「いつもと同じお風呂の入り方」「いつもと同じ挨拶の仕方」といった“お決まりのパターン”にこだわることで、「この次はこうなる」という安心感を得て、心の混乱を防いでいるのです。

③ 思考の特性

物事の捉え方や考え方にも、こだわりを生む特性が隠れています。

  • 中心性統合の弱さ:物事を全体として捉えるのが苦手で、細かい部分(パーツ)に目が行きやすい特性。 例:おもちゃの車で遊ぶのではなく、タイヤだけを延々と回し続ける。パズルの絵柄ではなく、ピースの形だけで合わせようとする。 →全体よりも「自分が注目した特定の部分」に強く固執する。
  • 注意の転換の困難さ:一度何かに注意が向くと、そこから意識を切り替えるのが難しい特性。 例:好きなアニメを見ている時に話しかけても聞こえない。一度決めたルールは、状況が変わっても頑なに守ろうとする。 →「こうする!」と決めた手順やルールから、柔軟に離れることができない。

これらの特性が複雑に絡み合い、その子ならではの「こだわり行動」として現れるのです。

ママも楽になる!こだわりとの上手な付き合い方【基本の3ステップ】

こだわりの理由が少し見えてきたところで、次は具体的な関わり方を見ていきましょう。目指すのは、こだわりを力ずくでなくすことではありません。親子で上手に付き合いながら、子どもの世界を少しずつ広げてあげることです。

ステップ1:まずは共感&受容「これがいいんだね」

お子さんがいつものこだわりを発動させた時、つい「また始まった…」「早くしてよ!」と言いたくなる気持ちを、ぐっとこらえてみてください。

そして、まずは子どもの気持ちを翻訳して、言葉にしてあげることから始めましょう。

  • 「そっかそっか、このミニカーの順番が気持ちいいんだね」
  • 「この赤い靴がお気に入りで、これを履いていきたいんだね」
  • 「うんうん、わかるよ。お風呂はこの泡からじゃないと嫌なんだよね」

ポイントは、行動を肯定するのではなく、その裏にある「気持ち」を受け止めること。 「あなたの気持ち、ちゃんと分かっているよ」というメッセージが伝わるだけで、子どもの不安は大きく和らぎます。頭ごなしに否定されるとパニックになって余計に固執してしまいますが、気持ちを受け止めてもらえると、子どもは落ち着きを取り戻し、次のステップに進む余裕が生まれるのです。

【まとめワンポイント】 「否定」する前に、まずは気持ちの「翻訳」を。子どもの気持ちを代弁する魔法の言葉かけを試してみて。

ステップ2:理由を探る「どうしてかな?」観察メモのススメ

共感の言葉かけに慣れてきたら、次は「なぜこの子は、このこだわりに安心するんだろう?」と、探偵になった気分で理由を探ってみましょう。

おすすめなのが、簡単な観察メモです。スマホのメモ機能などでOK!

いつ?どこで?何に/どうして?ママの仮説
朝の着替えの時子ども部屋で特定のTシャツ以外着ないと泣くもしかして、他の服のタグがチクチクして痛いのかな?
スーパーでお菓子売り場で赤い箱のチョコしか選ばない他のカラフルなパッケージの光が眩しくて苦手なのかも?
夜、寝る前寝室で絵本を3回読まないと寝ない1日の終わりに安心したい気持ちが強いのかな?見通し?

こんな風に記録してみると、「もしかして、こういう理由かも?」という仮説が見えてきます。この仮説こそが、的確なサポートへの最大のヒントになるのです。完璧じゃなくて大丈夫。「うちの子博士」になるつもりで、楽しく観察してみてください。

【まとめワンポイント】 探偵になった気分で、こだわりの裏にある「謎」を解き明かそう。メモが一番の武器になる!

ステップ3:スモールステップで世界を広げる

理由の仮説が立ったら、いよいよアプローチ開始です。ここでの鉄則は「スモールステップ」。無理やりこだわりを剥がすのではなく、本人が安心できる範囲で、ほんの少しだけ新しい世界に誘ってあげるイメージです。

家庭での工夫

  • ① 見通しを立てる(視覚支援) 「次は〇〇をするよ」と口で言うだけでなく、写真や絵カードを見せて伝えると、見通し不安の強いお子さんは格段に安心します。 例:朝の支度を写真カードにして順番に並べる。「ごはん→歯磨き→着替え」 例:「この公園で遊んだら、次はおばあちゃんのおうちに行くよ」と目的地の写真を見せる。
  • ② 選択肢を示す 「ダメ」と否定するのではなく、「AとB、どっちがいい?」と子ども自身が決められる選択肢を用意してあげましょう。自分で選べたという自己決定感が、子どもの心を育てます。 例:「青い服と緑の服、今日はどっちを着る気分?」 例:「今日はいつもの道が工事中だから、公園を通る道と、お花屋さんの前の道、どっちで行きたい?」
  • ③ 少しだけ試してみる 本人が嫌がらない範囲で、新しいことに誘ってみましょう。ゲーム感覚で誘うのがコツです。 例:「一口だけお味見してみない?おいしい魔法がかかってるかも!」 例:「タイマーで1分だけ!新しいズボンを履いてみよう。1分経ったら、いつものズボンに履き替えてOK!」

専門機関の利用

家庭での工夫に行き詰まったり、こだわりが生活に大きな支障をきたしたりしている場合は、専門機関の力を借りるのも大切な選択肢です。

  • 児童発達支援・放課後等デイサービス 作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)、臨床心理士などの専門家が、その子の特性に合わせたアプローチをしてくれます。 感覚統合療法:トランポリンやブランコ、スライム遊びなどを通して、苦手な感覚に慣れたり、必要な刺激を適切に取り入れたりする訓練をします。 ソーシャルスキルトレーニング(SST):集団の中で、気持ちの切り替え方やルールの変更への対応の仕方などを学びます。
  • ペアレント・トレーニング 親が子どもの特性への理解を深め、具体的な関わり方のスキルを学ぶプログラムです。同じ悩みを持つ親と繋がることで、「一人じゃないんだ」と心強く感じられますよ。

【まとめワンポイント】 ゴールはこだわりを「無くす」ことではなく、本人が「折り合いをつける力」を育むこと。焦らず、一歩ずつ。

【ケース別】こんな時どうする?こだわり対処法Q&A

理屈は分かっても、具体的な場面では迷いますよね。よくあるお悩み別に、対処法のヒントをご紹介します。

Q1. 服のこだわり(毎日同じ服、タグがダメなど)

A. 感覚過敏が理由の場合が多いケースです。

  • 同じ服を複数枚用意する:洗濯中でも安心です。
  • タグは根元から切る:チクチクの原因を排除しましょう。縫い目が気になる場合は、裏返して着るのもアリです。
  • 肌触りの良い素材を選ぶ:綿100%など、本人が心地よいと感じる素材を探してみましょう。
  • 写真で予告:「明日はこっちの新しいTシャツを着てみない?」と、前日の夜に写真を見せて心の準備を促します。

Q2. 食事のこだわり(偏食、食べ順など)

A. 感覚過敏(味覚・嗅覚・食感)や、見通し不安が考えられます。

  • 無理強いは絶対にNG:食事が苦痛な時間になってしまいます。栄養は「1週間単位」でバランスが取れればOK、とハードルを下げましょう。
  • 調理法を工夫する:苦手な野菜は細かく刻んでハンバーグに混ぜる、好きなキャラクターの型抜きを使うなど、見た目や食感を変えてみましょう。
  • 「お助けメニュー」を用意する:これなら食べる、というメニューを常に用意しておくと、親子の安心材料になります。
  • 食べ順のこだわり:無理に変えさせず、「〇〇から食べると美味しいんだね」と共感しましょう。心の安定が最優先です。

Q3. 場所・道順のこだわり

A. 見通し不安が大きな理由です。

  • 地図や写真で徹底的に予告:「今日はいつもの道が通れないから、この赤い線(地図に示す)の道を通って、いつものスーパーに行くよ」と、出発前に何度も確認します。
  • 楽しい目的を伝える:「新しい道を探検したら、大好きなアイスが待ってるよ!」など、変更の先にある「良いこと」を伝えて動機付けをします。
  • タイマーでゲーム化:「5分だけ、冒険の道に行ってみよう!ピピピって鳴ったら、いつもの道に戻ろうか」と、終わりが見える形で誘うと、見通しが立って受け入れやすくなることがあります。

最後に:ママの笑顔が、一番のお薬です

ここまで、子どもの強いこだわりについて、たくさんの情報をお伝えしてきました。最後に、大切なポイントを3行にまとめますね。

  • 子どものこだわりは「わがまま」ではなく、不安から自分を守るための大切なサイン。
  • まずは「そうだね」と気持ちを受け止め、こだわりの理由を観察することから始めよう。
  • こだわりを無理に変えるのではなく、見通しや選択肢を示して少しずつ世界を広げてあげよう。

たくさんのテクニックをお伝えしましたが、何より大切なのは、お母さん自身が笑顔でいることです。 こだわりの強い子との毎日は、本当に根気がいります。イライラして当たり前、疲れ果てて当然です。だから、自分を責めないでくださいね。

✔︎ 今すぐできるアクションチェックリスト

難しく考えず、まずはこの中の1つでも試してみませんか?

  • 子どものこだわっている姿を、叱らずに「これが落ち着くんだね」と心の中(できれば声に出して)で呟いてみる。
  • 「いつ、どんなことにこだわる?」スマホのメモ機能に1つだけ記録してみる。
  • 明日の予定(着る服や朝ごはんなど)を、寝る前に「明日はこれにしようか」と写真や実物を見せて伝えてみる。

そして、もし「もう一人では抱えきれない」と感じたら、絶対に一人で頑張りすぎないでください。

お住まいの地域にある児童発達支援センター子育て支援センターは、あなたの味方です。無料で見学や相談ができる場所もたくさんあります。私たち「ポレポレ」のような事業所も、いつでもあなたと、そしてお子さんのことをお待ちしています。

専門家や、同じ悩みを持つ仲間と繋がることで、ママの心は驚くほど軽くなりますよ。

あなたの毎日が、昨日より少しでも穏やかで、笑顔の多いものになりますように。心から応援しています。


FAQ(よくある質問)

Q1. こだわりは、いつかなくなりますか? A1. 年齢と共に脳が発達し、経験を積むことで、こだわりが和らいだり、形を変えたりすることは非常に多いです。しかし、特性として生涯にわたって残り続けることもあります。大切なのは、こだわりをゼロにすることを目指すのではなく、本人が社会生活の中で困らないように、こだわりと上手に付き合うスキル(代替案を受け入れる、気持ちを切り替える練習をするなど)を、時間をかけて一緒に身につけていくことです。

Q2. こだわりを中断させたら癇癪を起こします。どうすればいいですか? A2. まずは、お子さんの安全を確保できる場所で、怪我などがないように見守りましょう。癇癪の真っ最中に、言葉で説得するのは逆効果です。クールダウンできるまで待ち、少し落ち着いてきたら「〇〇がやりたかったんだよね。途中でやめになって、嫌だったね」と、まずは気持ちを代弁してあげてください。癇癪を予防するためには、事前に「時計の針が6になったらおしまいだよ」と終わりを予告したり、絵カードで次の楽しい予定を見せたりすることが有効です。

Q3. 兄弟が、こだわりの強い子を馬鹿にします。どうすればいいですか? A3. ご兄弟も、きっとたくさん我慢したり、寂しい思いをしたりしているのかもしれませんね。まずは、そのご兄弟の気持ちを「いつも待っててくれてありがとうね」「〇〇(兄弟の名前)は優しいね」と、しっかり認めて褒めてあげることが何より大切です。その上で、「お兄ちゃん(お姉ちゃん)はね、あのミニカーの順番がお守りみたいなものなんだ。あれが揃ってると、心が安心するんだって。だから、少しだけ付き合ってあげてくれるかな?」と、ご兄弟にわかる言葉で理由を伝えてあげましょう。そして、週に一度でもいいので、そのご兄弟とママだけの特別な時間を作ってあげることを強くお勧めします。